社会不安障害
- 人の前で話をしたりするときに極度に緊張して、心臓がドキドキしたり、冷汗がでて話ができなくなる状態です。
- 薬物療法や行動療法、認知行動療法が行われます。
- 薬としては抗不安薬や抗うつ薬が用いられています。
パニック障害
- ある日突然胸が苦しくなり、心臓がドキドキして息が早く荒くなります。息を吸えてない気がしてこのまま窒息して死ぬのではないかという激しい恐怖感に襲われます。周りの人もびっくりして救急車を呼んで病院を受診しますが、病院に着いたころには症状が軽くなっていることが多く、また検査をしてもどこにも身体の異常は見つかりません。この激しい呼吸の状態を過換気発作と言いますが発作が生じると極度の不安にに襲われるため、パニック発作とも呼ばれます。
- 治療として、薬物療法とともに、病気への理解を深め、発作症状への不安の軽減を図る認知行動療法を実施することで、高い治癒率が得られています。
強迫神経症(強迫性障害)
- 考えまいと思うのに自分の意思に反して不合理な考えが繰り返し浮かんできて(強迫観念)、日常生活にも支障が出ます。
また、水道の栓や火の元、玄関のドアの施錠などをきちんとしなかったのではないかと不安になり、自分ではばかばかしいとは思いながらも何度も何度も繰り返して確認するため(確認強迫)、日常生活に多大な支障が生じます。また物に触った後で繰り返し長時間を手を洗い続ける強迫手洗いが生じる例もあります。
治療は薬物療法と認知行動療法が基本です。
過敏性腸症候群
- 朝、学校に行く前など緊張するとおなかが痛くなり、下痢やおなかが張ったりします。便秘と下痢を繰り返す場合もあります。胃腸の検査をしても異常はなく、ストレスによる症状です。
- 治療は生活習慣の改善や薬物療法、カウンセリングなどです。
自己臭恐怖症
- 自分からオナラが出た感覚はないのに、周りの人が鼻をすすったりすると自分からオナラが出たために違いないと考えて悩み、自分の臭いへの不安から学校や会社へ行けなくなります。
- 治療は薬物療法と認知行動療法が基本です。
- 以前は大変治りにくい病気とされていましたが、今では治療により治らない人のほうがまれなくらいになっています。
双極性障害(躁うつ病)
- 時期により躁状態とうつ状態の両方が生じる病気です。
- 躁状態のときには、気が大きくなり、行動が活発になり、多弁多動となります。寝ずに動いても疲れを知らない感じです。周りに攻撃的となることもあるため、社会的なトラブルを防止するため行動制限や入院が必要なこともあります。
- 治療の基本は環境調整や休養と感情調整剤による薬物療法です。
うつ病
- 「うつ病」という病気の名前はよく知られていますが、実際にうつ病にかかった時にはご本人もご家族もそれとは気づきにくい病気です。「気持ちが晴れない、何をするのもおっくう、物事に興味や関心がなくなった。疲れやすい、眠れない、食欲がない」などの状態が日常生活に影響が出るほどに続く場合は、うつ病の恐れがあります。うつ病も早期に発見して早期に治療を開始するほうが治りがよいと言われています。また気が付かないまま放置して治療が遅れてしまうと、うつ病が重症化して休職や最悪、自殺に及ぶことになりかねません。 うつ病が疑われたら早めに受診されることをおすすめします。
- <うつ病の症状は?>
うつ病の基本的な症状は、
1)気分の落ち込みが2週間以上続くこと
2)物事への興味や関心が乏しくなること、そして、そういう状態のために日常生活に支障が出ていること
3)さらに眠れなかったり、食欲がなかったり、体がだるく疲れやすいなどの症状があればうつ病が強く疑われます。このような症状があって、しかも内科的に異常がないと言われた場合は、ほぼうつ病と考えて間違いないでしょう。 - <うつ病の原因は?>
ストレスによるものがほとんどです。
この10年間でうつ病は急増しています。うつ病が急に増えた原因は社会の変化によるものが大きいと思われます。とりわけ経済苦、生活苦、長時間労働やそこから派生してくるさまざまな家庭内の問題などもうつ病発病の要因となります。また対人関係が複雑になっていることなどもうつ病の原因または誘因となっていると思われます。 - <若年者のうつ病について>
児童・生徒の不登校は未だもって減る傾向になく、当の子供さんもまた親御さんも深刻に悩んでおられます。最近は不登校の中でもうつ病の子供さんが増えてきていると言われています。 - <うつ病だと感じたらどうしたらよいのでしょうか?>
まず精神科、心療内科へ受診して相談することです。 - <うつ病の治療法は?>
まず第一に、ストレスの原因がはっきりしている場合はそれらを取り除くか軽くすることが重要です(環境調整)。第二に、うつ病の症状が強い場合は休養が必要です。学校や会社を休み、主婦の場合は家事労働の負担を除くことが必要です。時によっては入院による休養加療が効を奏する場合もあります。特に死にたい気持ちが強く、自殺を図る恐れが強い場合は休養と安全を確保するために入院が必要となります。第三に、薬物療法です。
これらがうまくいけばうつ病は治る病気ですが、無理をすると病気が長引くこともあります。うつ病は自殺の原因とされる病気の中で一番頻度の高い病気ですので、早期発見・早期治療が重要です。
統合失調症
- 幻聴や被害妄想が生じ、また、活動性が低下したり、対人関係がうまくいかなかったり
して、社会生活に障害が生じる病気です。 - 治療は薬物療法および社会的活動能力の回復のためのリハビリテーションが基本です。
てんかん
- 脳の働きの障害のために、突然気を失ってひきつけて倒れたり、急に動作が止まり声をかけても返事がなかったりする症状が慢性的、発作的に生じる病気です。発作の生じていない時はなんの症状もないので日常生活は普通に行えますが、 発作が生じると怪我や事故につながる恐れがあり、社会生活にも支障が出てきますので、治療が必要です。
- 診断は、発作時の症状の詳しい分析と脳波や頭部の画像診断(CTスキャンやMRI)で行われます。
- 治療は薬物療法が基本ですが、てんかん全体の8割は薬物療法で発作抑えることが可能となります。側頭部のてんかんなど一部の治りにくいてんかんでは脳外科的手術が行われることもあります。
発達障害
発達障害には、下記の種類があります。
1) 精神遅滞
知的障害(IQ70未満)によって社会的な面での障害が見られる状態です。
一般に医学的治療よりも療育が主体となります。
2) 学習障害
計算や読み書きなど特別な領域の能力のみ障害された状態です。
3) 注意欠陥・多動性障害
集中できない、じっとしておれないなどを特徴とする障害です。
治療としては、リタリンやコンサータという薬物が効果を上げることもありますが、薬物を使うかどうかにかかわりなく、環境調整が重要になります。
4) 自閉症~自閉症は次の3つの特徴で診断されます。
① 社会性の障害
赤ちゃんのころに親と目が合わない、母親の後追いをしないなどの特徴が
見られます。
② コミュニケーションの障害
言葉のオーム返しなどが見られます。
③ 想像力の障害とそれに基づく行動の障害
ごっこ遊びができない、特定の遊びやものにこだわる、場を読めない、などの
障害を認めます。
治療としては、これらの特性を理解したうえでの周囲の対応や指導が大切です。
知能の低下する場合も多いことも合わせて特別支援学級や特別支援学校の利用が薦められます。
*高機能広汎性発達障害(アスペルガー障害など)
自閉症の中で、知的な遅れを伴わないものを、高機能広汎性発達障害と言います。
知的な遅れはなくても、社会性の障害やコミュニケーションの障害のため学校や職場などで様々な困難をかかえ、いじめにあいやすく、不登校や就労困難などの適応障害を生じます。
さらに、うつ病、双極性障害(躁うつ病)や境界性人格障害という病状の方の中に、広汎性発達障害を合併している例も少なくないと言われており、その場合、うつ病などの治療に際しても広汎性発達障害に配慮した
対応の仕方の相談も必要となります。
治療は、まず本人とその周囲の人たちが障害の特性をよく理解して、本人は周りと不適応を起こさない対処の仕方を学ぶこと、また周囲もできるだけ障害の影響が少なくなるような生活環境の調整をしてあげることが根本です。
すなわち医学的処置よりも「療育」や社会的技術の訓練、環境調整が根本になります。
また症状によっては抗うつ薬、抗精神病薬などの効果が見られることもあります。